日本生まれ中国育ちの省エネ技術、世界へ 第三国で展開

 日中両国は26日の首脳会談で、日本や中国の企業が第三国で市場を開拓する後押しをすることを合意した。この事業手法は、新日鉄住金が15年前に北京で事業化し、中国企業と改良を重ねた省エネ技術が一つのモデルになっている。技術は中国各地の製鉄所に普及しただけでなく、次の鉄鋼大国を目指すインドなどにも広がりを見せている。 この省エネ技術は、コークス乾式消火設備(CDQ)と呼ばれ、製鉄所内の省エネ装置として設置されている。鉄の材料のコークスを冷やす際に生じる蒸気を密閉状態で回収し、熱を電力に変えて再利用できる。新日鉄住金が子会社の新日鉄住金エンジニアリング(2006年に分社化)を通じて海外展開を強化している技術だ。 1時間あたり100トンを処理する小規模なコークス炉で重油6トン分に相当する電力を生み出せる。大気を汚す粉じんの排出も100分の1に抑制し、温室効果ガスの削減にもつながる。 装置は、旧ソ連の技術を土台に新日鉄(当時)が1970年代に開発した。国内では深刻な公害や度重なる石油危機を教訓に環境対策への意識が高まったため、80年代にはすべての製鉄所に設置。君津製鉄所(千葉県)では工場の消費電力の2割をCDQから供給している。 新日鉄は中国が改革開放にかじを切った78年から技術協力を進めていたが、当初は製鉄所の新設や増設を優先させたためCDQ導入が進まなかった。中国は北京五輪の誘致に力を入れ始めた00年代初頭から環境対策を重視し始め、一気に普及が進んだ。 新日鉄は03年、中国からの受注増に対応して、中国企業との合弁会社を北京に設立。開発や製造拠点も中国に移した。大半の部品は日本から輸出したが、その後、技術移転を進めて9割以上を現地で調達できるようになった。製鉄所の大規模化を進める中国側の求めに応じて、日本の標準型より2倍大きい装置もつくれるようになり、中国にはこれまで計71基を納入している。 10年からは中国の背中を追うインドで、タタ・スチールなどの企業にも供給。すでに10基を納入済みで、「中国製」として輸出してきた。 17年10月にはベトナムの製鉄大手からも初めて2基を受注。韓国や台湾、ブラジルなどにも供給しており、CDQの海外展開は7カ国・地域に及ぶ。 日本鉄鋼連盟によると、中国の粗鋼生産量は日本の8倍の年間8・3億トン。CDQを製造するライバル企業も増え、競争は厳しい。だが、日本の製鉄業のエネルギー効率は中国を16%上回っており、培ってきた技術への引き合いは今なお強く、CDQの需要は今後も増えると期待している。新日鉄住金エンジニアリングの担当者は「これからも日中両国の協力を深め、東南アジアなど第三国の環境問題や省エネに貢献していきたい」と話している。(山口博敬)