米国と日本の資産運用の差は? カギは長期投資

 老後の資産形成のために投資を考えていますが、投資はリスクがある、難しいと言われます。資産運用は必要なのでしょうか。     ◇ 人生100年時代という言葉が話題になりました。セカンドライフが非常に長くなり、今まで思い描いていた定年から老後の人生設計が変わってきている人も多いのではないでしょうか。長寿はおめでたいことですが、長くなる老後はこれまで以上に多くの資金が必要です。年金不安もあり「長生きがリスク」の時代になったともいわれます。 その結果、現役世代では長引く老後に備えて資産形成を始めたいという方が増えています。リタイア世代では今までためた資産をどのように活用して「資産寿命」を長くするかが重要になります。しかし投資になじみがなく、「難しそう」「リスクがある」といったイメージから投資への一歩が踏み出せない方が多いのが現状です。 今年6月、金融庁が個人投資家の半数弱が投資信託で損をしているという資料を公表して話題になりました。私はファイナンシャルアドバイザーとして、多くの個人投資家の方から資産運用の相談を受けますが、うまくいっている方にはほとんど出会えません。 では資産運用はうまくいかないものなのでしょうか。 私はそうは考えていません。米国では1995年以降、家計の金融資産は3倍以上になっています。同期間の運用によるリターンは2・32倍です。 日本と米国でなぜこのような差が生じるのでしょうか。私は毎年米国の運用会社やファイナンシャルアドバイザーを視察し、日米の資産運用の違いを研究しています。 私はかつて、米国人の資産運用が順調な理由について、子供の時から金融教育を受けているとか、米国の方が優れた金融商品があるからとか、米国の株価が右肩上がりだからといったことが理由だと考えていました。 しかし、米国人の金融知識、商品の優位性はともに日本と大差はありません。株価の上昇も、日本人でも米国株へ投資することは可能ですから、本質的な問題ではありません。 米国人の資産運用は、特別なことはせずに投資の王道と言えるような方法で長期間行うのが主流です。そして、長期投資を実現できるように投資家を支える金融機関やアドバイザーとの関係に、日米では顕著な違いがあると考えています。 長引く低金利、減っていく年金、増えない給料、上昇する物価、増える老後の生活費。長くなる老後に備えて資産運用の必要性は高まっています。預金だけでは老後の資産が足らない人が増えていきます。 資産運用が必要かといわれると、ほとんどの人が必要と答えますが、何をしたらいいか分からないという方が多いでしょう。 この連載では、投資家と接するアドバイザーの立場から、資産運用の正しい考え方や、やってはいけないことを分かりやすく解説し、日本人の資産運用の改善点をお伝えしていきたいと思います。 福田猛 大手証券会社を経て、金融機関から独立した立場で資産運用の助言をする、金融商品仲介業(IFA)の「ファイナンシャルスタンダード」を設立し、代表取締役を務める。